ITツールの導入が終わり、いよいよ実績報告というときに、何を、いつまでに、どう提出すればよいか分からず手が止まる。この記事はその状態を解消するために書いています。この記事は通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠を対象にしています。複数者連携デジタル化・AI導入枠は交付決定後の手続きが異なるため、同枠向けの事業実施・実績報告マニュアル 複数者連携デジタル化・AI導入枠を参照してください(交付決定後に必要な手続き)。参照した公式資料とその版は次のとおりです:事業スケジュール(2026年10月8日時点の掲載内容)、IT導入補助金2023後期〜2025の事業スケジュール(2026年10月8日確認)、事業実施・実績報告マニュアル(2026年6月12日策定、同年10月2日改訂)、事業実施・実績報告マニュアル 複数者連携デジタル化・AI導入枠(2026年7月17日策定)、後年手続きマニュアル(2026年7月24日策定、同年9月4日改訂)、公式サイトの「交付決定後に必要な手続き」「IT導入支援事業者とは」(いずれも2026年8月27日確認)。制度の運用は変わることがあるため、実際に手続きを行う際は公式サイトで最新情報を確認してください。
実績報告とは何を、いつまでに提出することなのか
実績報告とは、交付決定を受けた事業を実際にどう実施したかを事務局へ報告する手続きです。ITツールの導入・利用を開始したあとに行います。
実績報告には期限があります。事務局の定めた事業実施期間内に事業を実施し、実績報告期間内に実績報告を行う必要があります(事業実施・実績報告マニュアル 3-1)。
実績報告の期限は、交付申請をした締切回(「◯次締切分」)ごとに定められています。まず自社がどの締切回で申請したかを確認し、次の表で該当する行を見てください。
| 交付申請の締切日 | 通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠 | 複数者連携デジタル化・AI導入枠 |
|---|---|---|
| 2026年5月12日(火)17:00 | 1次締切分:2026年12月25日(金)17:00(予定) | 該当する締切回なし |
| 2026年6月15日(月)17:00 | 2次締切分:2027年1月29日(金)17:00(予定) | 1次締切分:2027年1月29日(金)17:00(予定) |
| 2026年7月21日(火)17:00 | 3次締切分:2027年2月26日(金)17:00(予定) | 該当する締切回なし |
| 2026年8月25日(火)17:00 | 4次締切分:2027年3月31日(水)17:00(予定) | 2次締切分:2027年3月31日(水)17:00(予定) |
| 2026年9月29日(火)17:00 | 5次締切分:2027年4月30日(金)17:00(予定) | 該当する締切回なし |
| 2026年10月30日(金)17:00 | 6次締切分:2027年5月31日(月)17:00(予定) | 3次締切分:2027年5月31日(月)17:00(予定) |
| 2026年12月1日(火)17:00 | 7次締切分:2027年7月30日(金)17:00(予定) | 該当する締切回なし |
(事業スケジュール、2026年10月8日時点)
表の期限は、いずれも「(予定)」として公表されている日付です。また、同ページには確定している募集回のスケジュールのみが公表され、以降は随時更新されます。7次締切分より後の回が追加されることもあるため、最新の内容は同ページで確認してください。複数者連携デジタル化・AI導入枠の列は期限の確認用で、同枠の手続きは同枠向けのマニュアルを参照してください。
「17:00まで」とされている各種申請・提出は、締切日当日の17:00をもって、申請マイページあるいはIT事業者ポータルから事務局への申請・提出等が行えなくなります。締切時間を過ぎた場合は、いかなる理由であっても受け付けられません(事業スケジュールの注記)。
このうち、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠では申請マイページ側が自社(補助事業者)の操作にあたります(事業実施・実績報告マニュアル 3-3)。複数者連携デジタル化・AI導入枠では、申請マイページで実績報告を行うのは代表事業者です(事業実施・実績報告マニュアル 複数者連携デジタル化・AI導入枠 3-2)。
IT導入補助金2023後期〜2025で交付決定を受けた場合は、各年度の事業スケジュールページを参照してください。
実績報告の前に済ませておくべきことは何か
実績報告を出す前に、まず確認すべきことがあります。すべてのITツールについて「事業」が完了し、利用・運用を開始していることです。ここでいう「事業」とは、IT導入支援事業者と補助事業者の間で行われる契約・発注、納品、請求・支払いを指します(事業実施・実績報告マニュアル 3-1、2-1)。
これには前段階の制約も関係します。交付決定前に発注・契約・支払い等を行った場合は、補助金の交付を受けることができません(交付決定後に必要な手続き STEP06)。
事業が正しく行われ、全ての事業が完了したことを確認したうえで、実績報告を行ってください(事業実施・実績報告マニュアル 3-1)。
実績報告はどのような手順で進むのか
実績報告は、自社だけで完結する手続きではありません。IT導入支援事業者(生産性向上を目指す中小企業・小規模事業者等に対してITツールを導入し、補助事業を円滑に遂行するための支援を行う事業者)の確認を挟む点が、最初につまずきやすいところです。
大きく3段階に分かれます(事業実施・実績報告マニュアル 3-3、交付決定後に必要な手続き STEP07)。
- 補助事業者(自社)が申請マイページで実績報告を開始し、証憑類を添付、補助金受取口座情報を入力する
- IT導入支援事業者が入力内容を確認し、契約・納品・支払の各情報を確認・入力する
- IT導入支援事業者からの提出依頼を受けて、補助事業者が最終確認とSMS認証を行い、実績報告を提出する
IT導入支援事業者の確認工程が入るため、実績報告は自社の準備だけでなく、IT導入支援事業者側の対応状況にも左右されます。期限が近づいてから動き出すと、この確認のやり取りで時間を取られやすい部分です。
実績報告ではどんな証憑・書類を用意すればよいのか
必要な書類は、申請枠・申請類型や、導入したITツールの種類によって異なります(事業実施・実績報告マニュアル 3-4)。すべての事業者が同じ書類を出すわけではない、という点をまず押さえてください。
そのうえで、代表的な書類は次のようなものです。
- 請求書(請求明細書)
- 支払証憑(銀行振込、ATM振込、金融機関の窓口振込、インターネットバンキング振込、クレジットカード払いなど、支払方法に応じたもの)
- ソフトウェアの導入・利用が確認できる資料
- 契約書又は利用申込書
- ハードウェアを導入した場合は、納品書と写真
- 補助金受取口座の情報
事業実施に関する全ての書類(契約書、注文書、納品書、導入通知書、請求書、振込受領書、領収書等)は、常に提出できる状態で保管してください。必要書類が提出できない場合、補助金の交付を受けられません(事業実施・実績報告マニュアル 3-4)。
自社にどの書類が必要かは、公式サイトの必要書類一覧で申請枠・類型ごとに確認してください。
補助金額の確定には何が必要か
証憑を提出したあと、事務局が内容を確認する「確定検査」が行われます。確定検査が終わると、補助事業者に通知メールが届きます。
ここで見落としやすいのが、確定検査結果の承認です。補助事業者は、申請マイページから期日までに確定検査結果を承認する必要があります。期日までに承認されなかった場合、交付決定が取り消されます(事業実施・実績報告マニュアル 6章)。
実績報告を提出して終わり、ではありません。通知メールが届いたら、承認の操作を忘れずに行ってください。
実績報告のあとに待っている「効果報告」では何を求められるのか
実績報告が終わっても、それで手続きがすべて終わるわけではありません。事業実施後の一定期間内に、「事業実施効果報告」(以下、効果報告)を行う必要があります。
効果報告では、事業終了後、効果報告期間内にITツールの活用状況等を報告します。報告する内容は申請枠によって異なります。1人当たり給与支給総額と事業場内最低賃金は、通常枠・セキュリティ対策推進枠・インボイス枠のいずれでも報告します。一方、生産性向上に係る数値目標に関する情報(営業利益、人件費、減価償却費、従業員数及び年間の平均労働時間)は、通常枠とセキュリティ対策推進枠の報告項目で、インボイス枠の報告項目にはありません(事業実施・実績報告マニュアル 1-2)。効果報告の詳細は、後日公式サイトに掲載される「事業実施・効果報告マニュアル」を参照するよう案内されています(同マニュアル 1-2)。
賃上げが必須要件になっている申請の場合、注意が必要な規定があります。事業実施効果報告が期間内に提出されなかった場合や、事業計画が未達だった場合は、補助金の全部又は一部の返還が必要になります(事業実施・実績報告マニュアル 1-2)。効果報告と賃上げ目標の達成状況判定は、実績報告のあとまで続く責任だと考えておいてください。
ITツールを解約した場合や事業を続けられなくなった場合はどうなるのか
導入したITツールを途中で解約したり、事業自体を続けられなくなったりすることもあり得ます。その場合の扱いも、あらかじめ知っておくと安心です。
補助金の交付後に次のケースに当たった場合は、辞退の手続きが必要になります(事業実施・実績報告マニュアル 1-2)。
- 導入したITツールを解約・利用停止した場合(複数のITツールのうち一部だけを解約する場合も含みます)
- 廃業、倒産、事業廃止、事業譲渡、吸収合併などにより補助事業を取りやめた場合
ただし、ITツールの解約・利用中止で辞退届が必要になるかどうかは、ITツールの販売形態と、解約・利用中止の時期によって異なり、辞退届の提出が不要な場合もあります。自社のツールが該当するかは、後年手続きマニュアル(2026年9月4日改訂)の1-1で確認してください。
辞退する場合、交付された補助金の全部又は一部の返還が必要になる場合があります。返還が必要なときは、補助金受領日から返還金の納付日までの日数に応じた加算金が課されることがあり、納付が遅れた場合は延滞金も発生します(事業実施・実績報告マニュアル 1-2)。
特に、賃上げ目標が必須となる申請では、効果報告前及び賃上げ目標に定められた要件の達成状況判定前に辞退した場合は、賃上げ目標の要件未達成とみなされ、補助金の全額返還となります(同マニュアル 1-2)。
また、導入日から1年未満で利用しなくなった場合や、実績報告で申告した利用期間に満たないうちに利用しなくなった場合も、理由を問わず返還対象となります。ただし、補助事業者の責めに帰することができない事情がある場合は除かれます(事業実施・実績報告マニュアル 1-3)。
辞退の手続きは、申請マイページから辞退届を作成し、IT導入支援事業者の確認を経て提出する流れです(同マニュアル 8-5)。ツールを解約する予定がある、あるいは事業の継続が難しくなったという場合は、早めにIT導入支援事業者へ相談してください。
提出前に確認しておきたいチェックリスト
実績報告を提出する前に、次の項目を見直してください。
- すべてのITツールで契約・発注、納品、請求・支払いが完了し、利用・運用を開始しているか
- 必要な証憑(請求書、支払証憑、契約書、ソフトウェアの導入・利用確認資料など)は、申請枠・類型に応じてそろっているか
- IT導入支援事業者への連絡・確認依頼は済んでいるか
- 確定検査結果が届いたら、期日までにSMS認証で承認する準備ができているか
- 補助金の交付後にツールの解約・利用停止や補助事業の取りやめがあれば、辞退の手続きが必要になること、解約・利用停止の場合は販売形態と時期によって辞退届の要否が変わることを把握しているか
この記事で挙げた項目は、いずれも公式サイトの資料に基づくものです。細かい要件は申請枠・申請類型によって変わるため、最終的には公式サイトで自社の申請枠に対応する資料を確認してから提出してください。

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